2018年05月10日

 午前に行われたスマートIoT推進フォーラム第3回総会に続き、午後には海外から招いた講演者も加えて、IoT国際シンポジウム2018が行われました。本シンポジウムでは、約450名にのぼる方にご参加をいただき、IoT・ビッグデータ・AIによる生産性革命の最新動向が紹介されると共に、生産現場のIoT・ワイヤレス化、これからのスマートホームの姿をテーマにパネルディスカッションが行われ、活発な意見交換が行われました。

 シンポジウムの開会では、今林顯一 総務省国際戦略局長、平木大作 経済産業省政務官が来賓挨拶を行いました

今林局長 来賓挨拶

平木政務官 来賓挨拶

続いて、セッション1では、「IoT・ビッグデータ・AIによる生産性革命の最新動向」と題して、

  • Andreas Dengel ドイツ人工知能研究所(DFKI)教授/Flexible Factory Partner Alliance(FFPA)会長
  • Wael W. Diab Industrial Internet Consortium(IIC) リエゾンWG議長/運営委員会委員
  • 松原俊介   ファナック(株) 取締役専務執行役員

の3名による講演が行われました。

  • DFKIより、お互いに通信できるスマートオブジェクトを工場に展開することによるFlexible Factoryやマスカスタマイゼーションの可能性と、その実現に向けた取り組みの事例
  • IICより、IICの組織構成や活動の概要、新たに設立されたインダストリアルAIタスクグループにおけるAI, IoTアナリティクスの取り組み
  • ファナックより、製造現場に強く根ざした IoT・AI活用の取り組みとして、製造現場におけるデータ取得、予防保全、加工条件の最適化、工場全体の合理化、熟練者のスキルをいかにしてデジタル化していくかについての取り組み

等が紹介されました。

DFKI Degel教授

IIC Diab様

ファナック 松原様

 続いて行われた、セッション2では、「生産現場のIoT・ワイヤレス化に向けたニーズと国際連携」と題してパネルディスカッションが行なわれました。

<パネリスト>

  • 川野俊充 ベッコフオートメーション(株) 代表取締役社長
  • 板谷聡子 (国研)情報通信研究機構 ワイヤレスシステム研究室 主任研究員/FFPA副会長
  • 法山敬一 三菱重工工作機械(株) 技術本部 先端生産システム研究センタ センタ長
  • Thomas Walloschke AIOTI(IoT Innovation Alliance) WG11議長
  • 岡山義光 日本電気(株) IoT基盤開発本部 技術部長

<モデレータ>

中村秀治 三菱総合研究所 営業本部長

 冒頭に行われた各パネリストからのショートプレゼンテーションに続いて、テーマに関するディスカッションが行われました。ディスカッションでの主要な発言は以下の通りです。

  • 工場内の課題は、多様な製造装置やアプリケーションが混在しているため相互接続が難しい(つながらない)ということである。また、そのため統合的に制御することが難しい
  • 工場のワイヤレス化への期待はケーブル数が多い制御系への適用である。一方で課題は通信の信頼性で、切れないこと。制御系には、緊急停止ボタンのように、いざという時、絶対に動作しなくてはいけないという要件も出てくる
  • 各種のワイヤレスネットワークを仮想化し論理的に通信経路を作ることで、物理的には切れていたとしても、あるいは物理的には遅延が多くても論理レイヤーでは切れない、ディペンダブルワイヤレスの実現を検討している
  • 生産現場では、無線部分も含めてデータのセキュリティに十分配慮する必要がある。そのため、クラウドと現場のエッジで処理するデータの区分についても考慮する必要がある
  • 相互接続性の課題を解決するために標準化に期待する。一つの規格に全世界統一することは無理があるため、例えばレイヤーの抽象度上げてそこで共通化することなどを国際標準化の場で議論することに期待する

三菱総合研究所 中村様

ベッコフオートメーション 川野様

NICT 板谷様

三菱重工工作機械 法山様

AIOTI Walloschke様

NEC 岡山様

最後に行われたセッション3では、「これからのスマートホームの姿~AIスピーカー、スマート家電、サービスによる暮らしの変革~」と題したパネルディスカッションが行われました。

<パネリスト>

  • 白石奈緒樹 シャープ(株) IoT事業本部 副本部長
  • 三原寛司 (株)LIXIL Technology Research本部 システム技術研究所 所長
  • 渡辺和幸 KDDI(株) 商品企画本部 ホーム・IoTサービス企画部長
  • 門田進一郎 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(株) ストラテジック アカウントマネージャー
  • 松園勝喜 (株)インベスターズクラウド 執行役員 IT技術開発本部 本部長
  • Thomas Walloschke AIOTI(IoT Innovation Alliance) WG11議長

<モデレータ>

丹康雄 北陸先端科学技術大学院大学 教授

冒頭に行われた各パネリストからのショートプレゼンテーションに続いて、テーマに関するディスカッションが行われました。ディスカッションでの主要な発言は以下の通りです。

JAIST 丹教授

シャープ 白石様

LIXIL 三原様

KDDI 渡辺様

AWS 門田様

インベスターズクラウド松園様

AIOTI Walloschke様

  • 家電機器をクラウドにつなぎサービスとして価値を提供することは1社ではできない。異なるメーカーからなる家全体の機器(家電、ヘルスケア、セキュリティなど)や電力管理が連携する必要がある。そのためには業界の垣根を越えて連携する必要がある
  • 以前のホームオートメーションからの大きな変化は、家の中の機器間が連携するポイントが家の中のゲートウェイからクラウドに移っていること。また、クラウドサービスが一般化したことによって、非常に安くサービスの立ち上げができるようになった
  • アメリカ・韓国では、ホームセキュリティサービスで成功事例がでてきた。さらに拡大するためには価格が課題。また、ホームセンターなど、ITの知識がない店員が主体のチャネルでも販売できるような使い勝手の改善も課題と言える
  • 欧州の一般データ保護規則GDPR(General Data Protection Regulation)をクリアするためには、セキュリティバイデザイン、セキュリティバイデフォルトが求められる
  • AIなどの新しい技術を使いスマートホームをドライブするアクセルと、個人情報・プライバシーへの対応というブレーキをバランスよく使い分ける必要がある

 あわせて、展示会場において、企業や団体22者が、IoTに関する最新技術・サービスの展示を行いました。

同時に行われた展示の様子

スマートIoT推進フォーラム国際シンポジウム2018プログラム・資料

(1)   来賓挨拶
今林顯一 総務省国際戦略局長
平木大作 経済産業省政務官
 

(2)   セッション1:IoT・ビッグデータ・AIによる生産性革命の最新動向

(3)   セッション2:生産現場のIoT・ワイヤレス化に向けたニーズと国際連携

(4)   セッション3:これからのスマートホームの姿~AIスピーカー、スマート家電、サービスによる暮らしの変革~