シムックス株式会社
- 事業・業務の見える化
- 事業・業務プロセスの改善
- 経営判断の迅速化・精密化
- 収集情報を活用した新規事業の発掘
【活用対象】
- 企業顧客
- 他企業とのアライアンス・コミュニティ内で活用
- パートナー企業含めたグループ内
IoT導入のきっかけ、背景
金型は、自動車を含め様々な工業製品の部品を成型加工する際に型として使用されるものであり、その質が製品の品質・性能等に直結する。日本の金型加工技術は世界でも高く評価されていたが、近年は海外メーカの台頭により、国内メーカは厳しい競争に立たされている。国内メーカは、高精度・短納期の優位性を活かした差別化とともに、生産効率の向上が喫緊の課題となっている。
現在、金型工場における加工機械の稼働率は他業種に比べて低く、今後多品種少量生産の傾向が強くなれば稼働率はさらに低下すると考えられる。併せて製造現場では自動化が進み機械が増加する一方で、管理する人員の削減が進んでいるために、機械管理と設備保全が十分にできていない工場もある。金型加工産業の生産効率を高めるためには、IoTを導入して稼動状況の見える化・設備の予知保全を行い、生産工程全体におけるボトルネックの特定と改善へ繋げることが必要である。
ただし金型加工業を含む塑型材産業は99%以上が中小企業からなり、IoT導入において3つのハードルが存在する。
一点目は、古い設備機器群である。業界で利用されている設備のうち6割以上が15年以上使用されており、様々な年式、型式、メーカの機械とつなげるための技術が必要になる。二点目は、ICTに強い技術者の不在である。ものづくりのためのCADCAMやNC機械を操作する熟練者は多くいるが、彼らのスキルは、ネットワークを構築しサーバをメンテナンスする技術とは異なる。三点目は、データを利活用するメソッドを持っていないことである。
金型加工メーカがIoTを導入するためには、古い設備機器からのデータ取得と処理・分析までを一元的に行うことのできるツールが必要だと考え、マリンバM3を開発した。
IoT事例の概要
サービス名等、関連URL
- サービス名:マリンバM3
- 関連URL:http://www.cimx.co.jp/marimba_m3.html
http://www.cimx.co.jp/01_dox/2017_07_19/marimba_m3_201707.pdf
サービスやビジネスモデルの概要
マリンバM3は、新旧、メーカの違いを越えて、金型工場に限らずあらゆる工場の複数の機械からデータを取得することができる。取得データは3G回線を使ってクラウドサーバに送り、ASPによりデータの処理・分析を行う。
機械からのデータを集めて、エンドユーザである工場の担当者、マネージャ、経営者等が稼動状態や異常値をリアルアイム及び月報(集計結果と分析)としてWebブラウザ上でいつでもどこでも確認できるサービスである。
内容詳細
実例「離れた工場をつなぐ「電力による稼動の見える化」
機械の電力使用データをもとに、複数の工場の稼動状況を、パソコンやスマートフォンからリアルタイムで確認することができる。離れた工場の機械の稼動状態も確認することができるため、自社設備のシェアリングも検討が可能である。また、見える化したデータをもとに管理者と担当者間で改善方法を検討したところ、改善前と比較して稼動が約2倍に増加した。
概要図
取り扱うデータの概要とその活用法
工作機械の制御装置から制御実績値データ、接点信号やセンサデータ、またはRFID、QRコード、バーコードのデータを収集することができる。収集したデータを加工し、稼動状態を見える化し、改善のポイント等のアクションデータに変換し業務効率を向上する。エッジからクラウドまでワンストップのサービスを提供している。
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
事業化への道のりでは、マルチベンダに対応させるために苦労があった。
まず、各主要な機械メーカからインタフェースの仕様や電気図面を公開してもらうためには、本製品の有用性を理解していただく必要があった。
また、実際の機械は、メーカの仕様と違うという点も課題であった。導入されている工場の現地で、本製品の開発と接続テストを繰り返す必要があった。そのため、調査導入に非常に大きな工数を要した。
今後の展開
強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動
従来の「カイゼン」から一歩進めて、IoTによって取得することのできる客観的データに基づいてカイゼンを行い、働く人が生きがいを持てる現場づくりを目指している。さらに、ものづくりの現場を中核に、サプライチェーンの見直しを行いたい。IoTによって取得した現場のデータを2次利用することができれば、機械のメンテナンスや部品の自動デリバリー等といったビジネスを構築することができると考えている。
将来的に展開を検討したい分野、業種
工場向け卸・小売業との連携