IoT導入のきっかけ、背景
当社は「ITの活用によって社会に貢献する」ことを合言葉に、システムインテグレション、システム・ソリューション、コンサルティングなどの事業を展開している。
建設現場では、杭打ち機やブルドーザなどの建設機械が稼働している。機械のオペレーション(運転)は建設会社が行うが、建設機械を良好な状態に保つための定期点検はメーカが保守サービスとして行うことが多い。これらの作業のうちいくつかは、助手を必要とする。
建設機械のオペレーションでは、オペレータが行う機械の細かな位置決め操作を補助するために、助手が外部から位置確認を行うことが多い。例えば、基礎工事での杭打ち作業では、助手が杭打機の角度を監視してアームが垂直になったことをオペレータに知らせる必要がある。
メーカの保守サポートでは、オイルに含まれる金属成分と不純物を分析することによって部品の劣化を診断する予防保全が行われているが、そのためにはサービスエンジニアが工事現場を巡回してオイルの状態を確認する必要がある。ここで、オイルの確認をするためには、廃油口が上側になるように機械の位置を調整する必要がある。そのため、ここでもオペレータに加えて助手が必要となる。
このような、助手を必要とする作業の省力化を図るために、3軸加速度センサーを使った建設機械の位置決め支援システムを開発し、オペレータのみでの作業を可能とした。
IoT事例の概要
サービス名等、関連URL、主な導入企業名
サービス名:3次元座標計測システム
導入企業 :建築機械メーカー
サービスやビジネスモデルの概要
提供形態:売り切り
価格 :500,000円~
内容詳細
本システムの動作概要を以下に示す。(あわせて図-1を参照)。
- 建設機械に取り付けた3軸加速度センサーで機械の動き(加速度)計測する。
- 加速度から建設機械の3次元座標を計算し、座標データを無線で運転席にあるスマートフォンに送信する。データの送信はリアルタイムに行う。
- スマートフォンで受信した3次元座標を基に位置決め目標からのずれ角度を画面に表示する。
- この動作を0.1~1.0秒(値は顧客との打ち合わせにより決める)間隔で繰り返し、建設機械が正常な角度になった瞬間にオペレータにブザーを鳴動して知らせる。
概要図
本システムの利用シーンを図-1に示す。
オイル劣化の確認作業では廃油口の蓋を開ける必要がある。その際、オイル漏れを防ぐために、廃油口の位置が上側になるように建設機械の位置を調整する必要がある。従来はこの位置決めのために助手を必要としたが、本システムによってオペレータが単独で実施できるようになった。
センサーは、筐体に組み込んだ磁石を使用して簡単に取り付けが可能である。
図-1 システムの利用シーン
取り扱うデータの概要とその活用法
- 3軸加速度センサーの計測値
- 加速度から計算したセンサーの3次元座標(姿勢推定のための情報)
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
お客様より現場課題解決のご要望をいただき、開発期間2ヶ月で商品化を行った。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
計測・制御やソフトウェア開発には当社保有技術を活用し、短期間での開発を実現した。
今後の展開
現在抱えている課題、将来的に想定する課題
スマートフォンの機種毎のソフトウェア開発。
強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動
顧客ニーズによる開発をさらに進めたい。
将来的に展開を検討したい分野、業種
当社が得意としている計測・制御関係の技術を用いて、顧客プロセスの効率化や課題解決を行うソリューションをジョイントで開発していきたい。