コガソフトウェア株式会社
- 事業・業務の見える化
- 事業・業務プロセスの改善
- 収集情報を活用した付加顧客サービス提供
- 新たな顧客層の開拓、マーケティング
【活用対象】
- 企業顧客
- 一般顧客
- 社会全般
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他企業とのアライアンス・コミュニティ内で活用
IoT導入のきっかけ、背景
国土交通省は公共交通機関の利便性向上や乗り継ぎの円滑化を目的に、2015年度から3年間、高精度なバスロケーションシステムの開発を実施している。このシステムでは、みちびきから得られるバスやタクシーの高精度な位置情報を一元的に収集し、利用者に対し、乗りたいバスがどこにいるかを精度良く、リアルタイムに提供することを目指している。
2017年度は、プロジェクトの最終年度として、プロトタイプを開発した上で、利便性や乗り継ぎ面での有効性について岡山県玉野市で実証実験を通じた検証を行うこととした。
玉野市では、幹線輸送のコミュニティバス「シーバス」と、支線送迎のデマンドタクシー「シータク」が市民の足として確立している。みちびきを活用したオンデマンドバスロケーションシステムを導入し、車両の現在地がすぐに分かるようにすることで、シーバス、シータクの乗り継ぎに関する不安を解消することを目指した。
IoT事例の概要
サービス名等、関連URL、主な導入企業名
サービスやビジネスモデルの概要
日本版GPS「みちびき」を活用して、高精度・リアルタイムに車両位置を把握できるオンデマンドバスロケーションシステム
内容詳細
みちびき対応のIoTデバイス(GPS/QZSSトラッカー)をバスやタクシー車両に搭載し、上記デバイスに搭載したAndroid OS の定期位置情報取得・送信アプリを使って5秒間隔で位置情報を取得する。これにより、バスの時刻表データやデマンド交通の予約・運行データと連携して、次に向かう目的地までの車両位置をリアルタイムで確認できる。これらの情報をデジタルサイネージやスマートフォン、パソコンなどを通じて住民に提供する。
なお、みちびき対応デバイスで取得した位置情報は、株式会社ソラコムが提供するデータ通信サービス「SORACOM Air SIM」によってクラウドに送信する。さらに、クラウドサービスに特化したデータ転送サービス「SORACOM Funnel」を活用することで、運用コストを抑え、安価かつ汎用的にどのような地域でも適用できるシステムを目指している。
みちびきによって、トンネル入口や高層ビル付近など、GPSを補足しづらいシチュエーションでも位置情報を取得できるようになる。この位置情報は2~3mの誤差と高精度であり、将来的には車両の自動走行等の際に活用することが考えられる。
今回選定した端末は安価かつ軽量・小型であり、大規模な装置がなくてもクラウド上にシステム構築できる。さらに、GTFS(公共交通データのオープンフォーマット)に対応しているため、既存のバスロケーションシステムが導入されている地域では、そのシステムともデータ連携できる。
また、混雑度の予測や災害情報のリアルタイム配信なども予定されており、これを活用したより高度なサービス展開への発展が期待できる。
概要図
システム構成概要
画面イメージ
取り扱うデータの概要とその活用法
- GTFS(General Transit Feed Specification)
- GTFSリアルタイム
- GPS/QZSS位置情報データ
- オンデマンド交通運行データ
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
- 開発から実証実験の開始まで3ヶ月弱と開発期間が短かったものの、5秒間隔でリアルタイムに位置情報を取得・描画するため、処理の輻輳制御などに留意する必要があった。他社IoTプラットフォームを活用して技術的なハードルを乗り越えた。
- 車載用途に耐えうる低コストなみちびき対応端末が、現段階では少なく、端末選定に苦労した。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
- 「みちびき」対応 IoT デバイスを車載器(GPS/QZSS トラッカー)として採用することで、高精度位置情報のデータ通信が可能となるよう、Android OS 用の定期位置情報取得・送信アプリを開発した。5秒間隔で位置情報を取得、トレースできる。
- みちびき対応デバイスで取得した位置情報は、SORACOM Air SIM によってクラウドに送信している。接続先クラウドリソースを指定するだけで容易にデータ転送が可能なサービスであるSORACOM Funnel を活用することで、運用コストを抑えている。
- Kinesis ストリームが格納した大量の連続的な IoT データを受け取ると、Lambda はサーバーレスで画面生成コードを実行する。AWS の機能を活用することで、定期的な大量データ処理を実現している。
今後の展開
現在抱えている課題、将来的に想定する課題
- スマートフォンをお持ちでない高齢者も多く、きめ細やかに対応するためにはデジタルサイネージの設置数を増やす場合、通信コストが課題になる。
- サービスの普及・浸透に時間がかかるため、より効率的な告知手段が必要である。
強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動
観光客への情報提供を睨んだ多言語化対応、観光情報や地域情報の連携表示、他地域への導入展開などを予定している。
自治体や公共交通分野への提供だけでなく、商業施設や病院などの民間企業とも協業しながら、モビリティを起点としたエコシステムを構築したいと考えている。
将来的に展開を検討したい分野、業種
交通インフラを起点として、小売、観光、まちづくり、福祉等の他分野の事業者との連携を図ることを考えている。