IoT導入のきっかけ、背景
路面上の凍結や積雪状態を直接計測する方法はいろいろ考えられる。路面埋設型センサーはシンプル構造で計測誤作も少なくなるメリットもあるが、タイヤで踏まれるため、損傷や故障の頻度が高くなる。また、舗装の更新によって取替えが発生する。そこで、路面上空から光や音などで計測する方法が望ましい。
路面センサーから出力された「赤外光」が路面に反射して戻ってくる。このときの反射率が高いほど「雪」と認識し、反射率が低いほど「乾燥or湿潤」と判断する。さらに、路面センサーから放射型温度計で計測した路面温度(路温)を用いて、0℃以下であれば「雪or氷」と判断できる。計測反射率と路面温度の閾値によって、路面状態を「積雪・凍結・シャーベット・湿潤・乾燥」に分類判定する。
また、道路は車両タイヤの「わだち部」と「非わだち部」の状態を正しく把握するために、センサーを水平回転させて道路を横断的に計測する。路面センサーの計測情報は、インターネット等を利用して配信することができ、ITS(高度道路交通システム)として利用可能。
IoT事例の概要
サービス名等、関連URL、主な導入企業名
サービスやビジネスモデルの概要
路面センサーは、以下の1~5の従来センサー5台分の計測機能を1台に集約した性能を有する。
路面センサーは10分毎(時間変更可能)に、次の項目を同時計測する。
- 気温(℃)
- 路面状態判定(積雪・凍結・シャーベット・湿潤・乾燥)
- 路面温度(℃)路面横断方向50点
- 積雪深(㎜)路面横断方向50点
- 路面画像(静止画)
また、路面センサーには、次の制御機能がある。
内容詳細
道路の路面状況(乾燥、湿潤、積雪)を判定したデータを、道路管理者に提供する。また、融雪装置の制御を行ないコスト削減を実現する。路面状況センサー(ロードアイ)によって、路面の状況判定(乾燥、湿潤、積雪)と気温・路温の計測、積雪の深さの計測を行い、主に路面状況の判定結果により散水融雪、ロードヒーティングの制御を行っている。また、これによって一定のコスト削減を実現している。
従来、散水融雪の自動運転は降雪センサー、ロードヒーティングは気温・路温・路面水分の3要素センサーからの情報を処理することで制御していたが、ロードアイで融雪装置の自動運転を行なう事で、水や電力の使用量削減を実現した。本事例では、加えて路面積雪情報をカメラで同時にセンシングすることにより、融雪装置の能力を超える降雪時の危険な路面状況をリアルタイムにモニターすることを可能とした。
同時に、これらの計測データをサーバに送信し、道路状況データとしてWeb経由で道路管理者に提供している。散水融雪制御装置は地域に点在するが、それぞれの制御装置をネットワークに接続しIoT化することにより、1台の路面状況センサーで20箇所程度の融雪装置をグループ化し、一斉制御を行なうことで水の使用量を減らしている。
概要図
融雪装置などを経済的に自動運転するためには、路面状態をきめ細かく把握することがポイント。
- 路面上空から直接、路面状態を計測。
- 道路の横断方向(わだち部・非わだち部)を計測。
- 50測点のきめ細い計測情報は、運転者・雪氷管理者・ITS「高度道路交通システム」に利用可能。
- 融雪装置・凍結防止装置の経済的な自動運転制御が可能。
- 従来センサー5台分の計測機能を、1台に集約。
- 気温計(気象庁認定)・降雪センサー・着雪センサー・凍結センサー・路温計・積雪深計(気象庁認定)・モニタカメラとしても利用可能。
取り扱うデータの概要とその活用法
融雪装置を制御する場合は、路面上の残雪の有無を判定することによって、融雪運転を適切に制御する。道路情報としての活用する場合は、路面判定、気温、路温、積雪の深さのデータやカメラ画像などを道路管理者に提供する。道路管理者は、この情報を雪氷対策(凍結防止剤散布、除雪出動など)の判断材料としている。
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
一般的に、各融雪設備毎に設けている降雪センサーは安価であるのに対し、路面状況センサーは高価であり、費用対効果の説明が難しかった。このため、中々導入に至らなかった。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
IoT活用を想定し、計測したデータのデジタルデータとしての出力
今後の展開
現在抱えている課題、将来的に想定する課題
装置が高価であり、新規導入が進まない。
強化していきたいポイント、将来に向けて考えられる行動
- 通信費用の負担も導入のボトルネックになっているので、特定小電力無線を活用したIoTシステムを導入する。
- 現在、特定小電力無線を活用したネットワークシステムの構築実験を行っている。
連携を含めた強化分野
最適経路・プロセスの選択