AIプラットフォーム開発・提供のきっかけ、背景
AIは幅広い業種に適用できるが、AIを活用しようというユーザにとってはデータの処理、セキュアな保存、教師データの作成、学習モデルの設計・検証、解析結果のビジュアル化などさまざまな開発作業が必要になる。AIを活用して収集したデータを解析し、ビジネスに役立てるまでには多くの開発工程をこなすというハードルが立ちはだかるのである。
ABEJAのAIプラットフォームは、ユーザがAIを活用する際に直面するこれらの開発作業を効率的に行うためのツールと環境をクラウドベースで提供する。ABEJAのAIプラットフォームを活用することにより、ユーザは多くの開発作業を効率化することが可能になり、ビジネス価値の創造という本来の目的に集中することが可能になる。
AIプラットフォームの内容
提供形態
AI、特にディープラーニングを容易にビジネスに活用できるようにするためのツールや環境をオープンプラットフォームという形でパートナー企業に提供。ユーザ企業はパートナー企業と協働し、AI活用によるビジネスプロセスの効率化・自動化を実行する。
提供詳細
パートナー企業向けにオープン化されたABEJA Platform(AI活用システム開発支援環境)を提供する。パートナー企業は、次の5つの領域に分かれている。
- IoTデバイスパートナー:センサーやアクチュエーターを提供する企業
- IoTネットワークパートナー:通信サービスを提供する企業
- システムインテグレーションパートナー:既存システムをインテグレーションする企業
- コンサルティングパートナー:AIテクノロジーを活用しソリューションを提供する企業
- APIエコノミーパートナー:API連携が可能な既存データを保有する企業
また、開発者向け、経営層向けのトレーニングコースを設けており、AIをビジネスに活用する上で必要な開発工程の体験学習や経営判断に必要な実用知識の伝達を行っている。
概要図
AI活用システムを開発・運用する際の各工程における開発・運用課題とABEJA Platformが提供するソリューションを対比すると次の図のようになる。
主な特徴
- どんな種別や形式のデータにも対応できること
- 精度の高いAI分析を可能とする独自のデータアダプテーション技術
- 迅速なAI活用システムの構築が可能な操作性とサポート体制(1ヶ月で構築した例もある)
事業化への道のり
苦労した点
2012年の創業時よりクラウドサービス「ABEJAプラットフォーム」を開発・提供しているが、当初はAIに関する世間の理解が進んでおらず苦戦。ABEJAプラットフォームだけではビジネスにならないので、これを活用したリテール向けのソリューションを開発し提供。現在は、AIへの認知の高まりにより、あらゆる業種(製造、エネルギー、モビリティ、不動産など)でAI活用が進み始めており、パートナーがABEJAプラットフォームのツールや環境を活用し、さまざまな業種向けのAI活用システムを開発している。
外部リソースの活用
- 提供しているツールや開発環境は100%自社開発。
- センサーデータの扱い、教師データの作成(アノテーション)等の付随する支援作業、(データの扱い方が異なる)各業種への展開に関しては、パートナーと連携し効率的なAI分析ノウハウを蓄積している。
今後の展開
課題、強化したいポイント
- パートナー企業を通し、さまざまな業種にABEJAプラットフォームを提供
- さまざまな業種への提供拡大に向けABEJAプラットフォームの機能拡大を実施中
行動方針
- 製造、エネルギー、モビリティなど多くの業種より引きあいが来ており、多様な業種への提供、開発支援を通して、提供するAI開発環境の精度を引き続き高めていくことに注力する。
- 事業スコープとしては、AI自体に関わる事業ではなくAI活用システムの開発環境を提供することによって、AIシステムを開発・構築する人を支援すること(AI周辺ビジネス)に特化。Deep Learningによる判断結果がなぜそうなったか等のAI研究的領域、APIの開発提供、AIエンジン(アルゴリズム)の研究開発などは現時点では主たる事業スコープとしては考えていない。
連携を含めた強化分野
- 業容拡大というよりは、事業スコープを明確にした上で、そのスコープ内の価値を高めるためパートナーとの連携を進めている。
本記事へのお問い合わせ先
ABEJA株式会社