株式会社アプリックス
- 事業・業務の見える化
- 収集情報を活用した付加顧客サービス提供
- 故障や異常の予兆の検知、予防
- 故障や異常への迅速な措置
- 最適経路・プロセスの選択
- 収集情報を活用した新規事業の発掘
【活用対象】
- 企業顧客
- 一般顧客
IoT事例の概要
サービスやビジネスモデルの概要
OurPet's 社の Intelligent Pet Care™シリーズ
内容詳細
Our Pet's社がメインターゲットとする米国市場においては、猫・犬を多頭飼いする傾向がある。この場合、それぞれの猫・犬は体調、健康の状態が異なるため、個別にその状態を把握する必要がある。 このため、
- それぞれの猫・犬にBLE(Bluetooth Low Energy)規格に準じたモジュールを搭載したペンダント(SmartLink™ Tag )を装着し、
- 同社が提供している給餌機(SmartLink™ Feeder – Intelligent Pet Bowl)、ペットトイレ(SmartScoop® - Intelligent Litter Box)、給水機(SmartLink™ Waterer – Intelligent Water Fountain)に近づくと、猫・犬のペンダントを識別し、餌箱を開くなどのアクションをとることにくわえて、個別に行動履歴を記録する仕組みを構築している。
そして、収集した行動履歴データをもとに、トイレの頻度が高い場合は疾患の可能性を疑うなど、ペットに対する個別ケアに必要な行動の見える化を実現している。くわえて、ペットトイレの砂の状態、給水機の水の量、給餌機の餌の量をモニターし、交換のタイミングを的確に把握できるようにしている。
概要図
当社のペット向けヘルスケアプラットフォームを採用した OurPet's 社の Intelligent Pet Care™製品群が実現できたこと
取り扱うデータの概要とその活用法
取り扱うデータとしては、主にペットに関する行動履歴。餌を食べたタイミングや回数、水を飲んだタイミングや回数、トイレをしたタイミングや回数などのデータである。これらのデータを解析して異常を検知した場合は、獣医に連絡する仕組み、それからペット保険と連動する仕組みについても現在検討している。
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
導入にあたっては、すでに製品化されている給餌機、給水機、ペットトイレに新たにBLEモジュールを組み込み、スマホ・クラウドと連携するシステムを構築した。導入に当たり苦労したのは、スマホOS(iOS, Android)にかかわる問題の修正と検知するタイミングの最適化など。これらの検討に時間を要し、最初の商談から実際の製品化まで2年近く要した。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
たとえば、扇風機・空気清浄機などのIoT化の場合、当社では、当該機器にBLEモジュールを組み込み、スマホアプリ・クラウドと連携させるケースが多い。一方、ペットケアの場合、スマホを持った利用者が近くにいるとは限らないので、スマホとペット機器だけの連携ではデータ収集ができない場合がある。この問題を解決するため、当社では「BLE/Wi-Fiゲートウェイ(SmartLink™ Gateway – WiFi Pet Care Connector)」を開発し、スマホがない場合はBLEモジュールからのシグナルを無線LAN経由で収集する仕組みを構築した。
今後の展開
現在抱えている課題
当社では、現在、BLEモジュールを活用したシステムソリューションが多いが、顧客は特定の通信モジュールにこだわらず課題解決に最適な通信モジュールを選択するケースが多い。このような状況に対応するため、当社ではBLEモジュールだけではなく、3G〜5G、LPWA、高速PLCなどの通信モジュールへの対応を進めている。
将来的に想定する課題、強化していきたいポイント
Our Pet's社のサービスはクラウドを利用する「サービス」であり、継続的な利用が前提となっている。一方で、多くのメーカーは、ペット機器を製造して「売り切り」にするケースが多い。したがって、この「売り切り」から継続的な「サービス」への転換に踏み切れるかどうかが課題になるケースが多い。当社は、データを蓄積することが価値であると提案しているものの、「サービス」化に踏み切れない企業が多い。このような「転換」に踏み切るマインドセットが今後の課題である。
将来に向けて考えられる行動
【取り扱うデータの概要とその活用法】で述べたように、データを媒介に獣医ならびにペット保険と連携する仕組みについて検討している。また、ビジネスモデルに関しては、ペットトイレの交換タイミングを通知し、ネット経由で購入してもらう際に、当社にも売り上げの一部が分配されるレベニューシェアの仕組みの適用を検討している。
連携を含めた強化分野
- 顧客へのサービス対応・サービス品質向上
- 新たな顧客層の開拓、マーケティング
- 経営判断の迅速化・精密化