株式会社KMC
- コスト削減
- 事業・業務プロセスの改善
- 顧客へのサービス対応・サービス品質向上
【活用対象】
- 自社
- 企業顧客
IoT事例の概要
サービスやビジネスモデルの概要
スピンドル等の製造、販売
内容詳細
1939年創業のエヌ・エス・エス株式会社(NSS)は、新潟県小千谷市を拠点に精密機械部品を製造。工作機械の心臓部であるスピンドルを中心に、高精度な部品を提供している。生産する製品は多品種少量という性質を有している。その生産性の向上のツールとして注目したのがIoTでした。
従来職人が個別に管理していたNC(数値制御)データをフォーマットに登録。加工図と連携させ、これを瞬時に呼び出しNCデータに基づいて加工スタートできるようにした。さらに工具やツールの組み合わせを一元管理し、加工機の測定データと結びつけて分析することで最適な工具やツールを選択できるようにした。加工機からのデータ収集には当社(株式会社KMC)の「Σ軍師i」を、生産データの管理には当社の「電子カルテ」をベースにIoT・M2M Systemを構築した。
このような改善によって、多品種少量生産でありながら振れ精度±1μという高精度で高品位安定生産を実現した。同時に、加工機の稼働率43%アップ、営業利益4,000万円アップという成果につなげた。多品種少量生産は人手が必要ですが、現在は深刻な人手不足の状況。これを解決する手段としてIoTに着目し、生産性向上を実現した。NSS様の将来にとって必須の取り組みであると考えている。
(参考)
Σ軍師i:生産ロギングデータや振動、温度、過負荷などの後付けセンサーデータを収集する機器。古い機械も含め、複数メーカーの多彩な生産機に対応。パトライト付FAコンピュータを採用し、設備や条件の不良を即座にキャッチし、現場で警告を出す機能を有している。
電子カルテ:電子カルテシリーズは、金型工場・生産工場、保全エリアの現場用の日本版IoTシステム。金型や生産機械、作業者などをQRコードで管理。不具合事象を声・画像・動画でリアルタイムに把握することにより、生産現場のトレーサビリティ確保を可能にする。また、生産機械の設定情報や収集したセンサー情報と連携させることにより、製造に関わる情報を一元管理可能。
取り扱うデータの概要とその活用法
NCデータ、工具・ツールデータ及び加工機の稼働状況(稼働率)と加工精度のデータ
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
一番苦労したのは、お客さまであるNSS様の業務改善に必要な要求事項の明確化でした。このため、IoTベンダーである当社が、NSS様にヒアリングを行い、これを明確化した。特にポイントとなったのは、TOPの改革・改善POINTと現場目線の要求事項を整合させることであった。また、電子カルテや∑軍師iの機能をNSS様の要求条件に整合させるのに時間を費やした。要求事項がまとまった後の設置作業はさほど時間を必要とせず、導入検討を始めてから約3~4か月で導入、設置を完了した。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
月2,000種を超える多品種小ロット生産に適合する仕組みづくりに苦心した。このため仕組みづくりの一環として、加工に必要なNCデータに基づき加工に最適な工具やツールを瞬時に判断・供給するために必要なIoT・M2M Systemを新たに開発した。また、リアルタイムデータ供給の基になるNCデータのデータべース構築に時間がかかった。具体的には、リピート注文が多いものの、その都度NCデータを作成しており、また、技術文書も散在し共有されておらず、これが加工の効率を下げている一因であった。この課題は、各図面に個体認証(QRコード)を貼付し、管理することで解決した。
今後の展開
現在抱えている課題
今回、IoT導入した加工機は8台であるが、今後、工場に70台以上ある全ての加工機へのIoT導入のためには、導入コストの低減や工事による生産停止時間の最小化が課題となる。また、NSS様は、多品種小ロットの部品を製造しており、かつ、1個当たりの加工時間が短いのが特徴である。したがって、製造する部品を切り替える際の段取りの効率を上げることが大きな課題である。これまではデータがなかったので、稼働率についても段取り作業開始から加工完了までを稼動中ととらえその詳細は把握していなかったので、改善のための詳細な分析が出来ない状況であった。稼働状況の詳細把握により、改善策が今までより容易に見出せるようになり、段取り効率が上がることを期待している。
将来的に想定する課題、強化していきたいポイント
工場全体の加工機の稼働率向上、加工所見管理の導入、段取り等の人が関わる部分の工数管理、測定したデータ間の連携等拡張していきたいニーズがあるので、NSS様のSmartFactoryをめざした工場全体のシステム化、それから現場レベルの気付きと生産管理、生産技術等担当とのコミニュケーションTOOLである当社のM-Documentを活用した間接工数の削減、費用低減を図る計画である。
将来に向けて考えられる行動
今回は、ものづくり補助金を活用した導入であったが、大きな成果を上げることができたので、実際にQCD(Quality:品質、Cost:費用、Delivery:納期)、のプロセスを動かし一層の生産性の向上を図るため、次の投資を共同で行う体制を構築する事になった。両者間で技術コンサルテイング契約を締結し、生産性向上の実現のため一歩ずつIoT・M2M Systemを進化させることになる。
連携を含めた強化分野
- 収集情報を活用した付加顧客サービス提供