株式会社リコー
- 収集情報を活用した付加顧客サービス提供
- 顧客へのサービス対応・サービス品質向上
- 新たな顧客層の開拓、マーケティング
- 故障や異常の予兆の検知、予防
- 故障や異常への迅速な措置
- 経営判断の迅速化・精密化
【活用対象】
- 自社の複数部門あるいは全体で活用
- 企業顧客
- 一般顧客
IoT導入のきっかけ、背景
リコーのリモートサービスの歴史は古く、ネットワーク対応のOA機器がなかった時代に構築されたCSS(カスタマー・サポート・システム)と呼ばれる電話回線を利用したコピー枚数の確認(カウンター自動検針)サービスに遡る。2004年に導入された@Remoteサービスの目的は機器管理業務における顧客負担の低減およびカスタマーエンジニアの派遣削減による省力化であったが、リモート監視による様々な保守サービスへの展開が可能であることに気づき、故障検知、10年以上蓄積したデータ活用による故障の未然防止など様々なサービスを開発してきた。現在ではワールドワイドにサービスを展開し、数百万台の複合機・レーザープリンターの稼働状況を管理できる、OA機器のビックデータ基盤となっている。
IoT事例の概要
サービスやビジネスモデルの概要
@Remoteサービスでは、ネットワーク上にあるデジタル複合機やレーザープリンターの稼働状況をリアルタイムに把握することによって保守運用の効率化を実現。
内容詳細
- 蓄積した膨大なデータの分析による部品劣化の予測も含む故障の未然防止や迅速かつ的確なサービスによるダウンタイムの短縮。
- 両面・集約印刷枚数レポートなどの「利用状況報告書サービス」によるプリント・コピーコスト削減効果の可視化。
- トナーの残量監視による、トナーの自動配送。
- お客様に適した機器の提案、マーケティングの他、経営判断の迅速化・精密化に活用。
概要図
蓄積されたデータを基に以下の顧客価値を実現。
- 機器故障の未然防止、迅速なCE派遣などによるによるダウンタイムの軽減。
- 安心してお使い頂くため、セキュアな通信、機器側からの通信起動による機器情報の取得。
https://www.ricoh.co.jp/remote/
取り扱うデータの概要とその活用法
- 機器の稼働状況、各種機能(両面コピーなど)の利用状況、異常発生時のエラーコード、消耗部品の状況等から、適切なタイミングで最適かつ能動的な保守サービスや営業提案に活用。
- お客様が出力・スキャンしたコンテンツ(プリント、コピー内容)に関わる情報は一切収集しない。
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
- お客様が抱く情報資産の漏洩防止などセキュリティ上の懸念への対応。ハードウェア/ソフトウェア構造、しくみなどをまとめたWhite Paperを作成し丁寧に説明し、顧客の懸念解消につとめている。また、機器とリコー側システムの仲介装置となるRC-GateはISO15408(情報セキュリティ評価基準)認証を取得。
- 顧客サイドの信頼感を得るために、機器側(ないしはRC-Gate)からのリコー側システムアクセスを契機に情報を送信する仕組みを採用(リコー側システムと常時接続にしない)。
- 海外では販売体制、保守体制が日本と異なることから、データの収集とその活用について理解を得て浸透するまでに2-3年程度要した。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
- 提供する開発環境は100%自社開発。
- 機器に搭載するソフトウェアのモジュール化をいち早く行い、機器の機能に応じたソフトウェアモジュールの組み合わせによって、あらゆる自社機種からの収集データや品質の均質化を図った。
今後の展開
現在抱えている課題
- 10年以上サービスを提供してきた@Remoteはオフィスの出力機器という分野においては様々な取り組みにより価値提供してきたが、オフィス機器以外の分野において水平展開には今まで取り組みがなされていなかった。
強化したいポイント
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OA機器のリモート監視の経験やデータ活用のノウハウの活用。
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@Remoteサービスとして蓄積してきたノウハウと仕組みを外部向けにプラットフォーム化し、RICOH Open Remote Servicesとして他の業種に外販すること。
将来に向けて考えられる行動
自社機器の接続率の向上やデータ分析の進化による@Remoteサービスのさらなる発展と上記で述べたRICOH Open Remote Servicesの展開。
連携を含めた強化分野
B2B分野(医療分野等)、機器情報の収集や監視、保守要員の派遣が必要なあらゆる業種。