凸版印刷株式会社
- 事業・業務の見える化
- コスト削減
- 顧客へのサービス対応・サービス品質向上
- 新たな顧客層の開拓、マーケティング
- 故障や異常への迅速な措置
- 最適経路・プロセスの選択
- 変動する需給バランスの最適化
- 経営判断の迅速化・精密化
【活用対象】
- パートナー企業含めたグループ内で活用
- 他企業とのアライアンス・コミュニティ内で活用
- 企業顧客
IoT導入のきっかけ、背景
当社はRFID(電子タグ)について、創世紀といわれる2000年頃から技術開発および販売を行ってきた。業務効率化や作業精度向上、リアルタイム性、真贋判定、トレーサビリティの実現など数多くのソリューションを提供し、業界のリーディングカンパニーと見なされている。
また、RFID事業拡大のため、他社との協業によりソリューション事業を展開してきた。例えば、㈱ネットレックスの「Convi.BASE」という資産管理アプリケーションと当社のRFID技術を組み合わせることで、RFIDを使った資産管理を実現している。
当社の方針は、RFIDを軸としたこのような協働・協業にこれまで以上に取組み、より良い用途開発を積極的に進めていくことである。この一環として、リアルタイム性や作業ミス撲滅だけでなく、省力化、省人化にお客様の経営課題がシフトしていることに着目し、ロボットとRFIDとの連携を模索してきた。省力化、省人化で効果を発揮するのはロボットであると考えたからである。このような問題意識を持っている中で、㈱ZMPの物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」の「誰でもできる搬送作業はロボットに」という考え方と出会った。当社の求める連携に最適な協働・協業パートナーと感じ、CarriRoのIoT化(RFID化)による新たな物流支援ソリューションの提供を推進していくこととした。
本ソリューションは現在実証実験中であり、近々販売を予定している。将来的には倉庫業務の無人化も視野に入れたものである。
IoT事例の概要
サービスやビジネスモデルの概要
- CarriRoにRFID読取装置を搭載し、これによって取得するデータと温度センサーなどさまざまなセンサーで取得するデータを基幹業務システムにリアルタイムに連携させる。
- 複数の在庫やアイテムの入出荷・検品作業を一括で即座に行う。
- 検品ミス・誤配、省力化・省人化・労働力不足などを課題解決。
内容詳細
- CarriRoは倉庫内での荷物移動に伴う作業者の肉体的負荷を軽減するために開発された台車型ロボット。以下に示す3つの移動モードを有する。ピッキング作業の際に、CarriRoの移動履歴やRFID読取装置からの情報(アイテム内容など)を収集し分析を行うことによって、倉庫内の可視化を行い、棚配置の最適化を行うことが可能となる。
①ドライブモード:作業員のジョイスティック操作による移動
②カルガモモード:ビーコンに反応し追従する移動
③自律移動モード:予め設定した経路に基づき自動で移動 - CarriRoが持つ3つの移動モードによる特徴とRFIDの特徴および情報を掛け合わせ、さまざまな業務インパクトが生まれ、そこにコストダウン、最適化、ecoなどの効果が生まれる。
概要図
当社で実証中または想定するソリューション、主な利用シーンは以下の通りである。特にニーズの高い在庫棚卸においては、何が、いつ、どこにあるかを、日々リアルタイムで確認することが可能であり、精度の高い在庫管理を実現できる。
- 一括ピッキング:従来のピッキング作業においては、作業員がバーコードリーダで商品のバーコードを読み取り、確認していたので作業ミスがあり、効率も良くなかった。新しく開発したやり方では、作業員はタブレット端末に表示されるアイテムに従いピッキング作業を行うだけで、CarriRoに搭載されているRFIDリーダ/ライタが自動的にその場で確認する。これにより、一括で検品まで終了することができ、検品ミスや誤配のリスクを低減できる。
- 作業員誘導:CarriRoの自律移動モードにより、ピッキングアイテムとその保管場所まで作業員を誘導する。トラックの積み込み場所まで誘導し、誤積載を防ぐこともできる。
- 無人在庫棚卸:夜間にCarriRoが決められた経路を自律移動し、在庫棚をスキャンし、1日のシステム上の在庫と実際の在庫の突き合わせ作業を翌朝までに完了することができる。ICタグによる無人棚卸ソリューションは、2017年9月第19回自動認識総合展にて公開
[動画URL] https://www.youtube.com/watch?v=bgpd9TwmWZo
- 現場の見える化:CarriRoに搭載するさまざまなセンサーを通じて得られる作業員の移動距離、経路、稼働時間などのデータと在庫、ロケーション情報を組み合わせ、現場の業務効率改善やレイアウト変更に役立てることができる。
- 自動巡回点検・管理:「無人在庫棚卸」と同じ動きで、温度センサー付きRFIDのデータを読み取り、定められた温度よりも高いなど異常があった場合はアラートを出して通知する。
- 工程間搬送補助: CarriRoが加工作業情報を読み取り、自律移動により各工程に正確に搬送する。工程順序がアイテム毎に異なる製造工程に適している。
取り扱うデータの概要とその活用法
IDなどRFIDに書きこんだ各種情報、CarriRo位置情報、ソリューションにより温度などのセンサー情報
事業化への道のり
苦労した点、解決したハードル、導入にかかった期間
既存のRFIDリーダ/ライタではCarriRoに搭載されている商品のICタグのみを正確に読み取ることが困難であり、独自のRFIDリーダ/ライタを開発。
技術開発を必要とした事項または利活用・参考としたもの
- クラウド型のID認証プラットフォーム「ID-NEX」を自社開発。
- 既に(株)ネットレックスと協業で提供しているクラウド型資産管理パッケージ「Convi.BASE」と連携した棚卸ソリューションを開発。
今後の展開
現在抱えている課題
CarriRoの自律移動性能の向上、停止ではなく衝突回避運動による運用性の向上
将来的に想定する課題、強化していきたいポイント
- CarriRoの小型化(細い通路など)
- 従来は、業務効率化や誤り防止など輸送品質の向上が主な目的だったが、今後、運ぶモノの品質保持(例えば温度状態や開封状況)に関するニーズが高まってくると感じている。品質要件の高い医薬品の運搬などについて検討していきたい。
将来に向けて考えられる行動
- ロケーション管理に基づく自律移動の技術開発
- CarriRo×RFID機材のパッケージ化による新たなお客様への拡販
連携を含めた強化分野
- CarriRoだけでなく、他の作業ロボットとRFIDとの協働・協業の模索
本記事へのお問い合わせ先
凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部
セキュアビジネス推進本部 セキュア販促部 RFID販促チーム